仲介だけではない不動産売却の4つの方法

住まいを売却するための4つの方法イメージ画像

住み替えや不動産投資についてまわる「売却」。そして、その不動産の売却方法として最も一般的なのは「仲介」です。しかし、仲介以外にも売却方法があることをご存じでしょうか。ここでは不動産の売却方法として代表的な四つを解説していきます。

売却方法ごとの特徴で使い分けを

不動産の売却方法は、最も一般的な「仲介」のほかに、「買取制度の利用(不動産会社への直接売却)」「任意売却」「買取保証付き仲介」があります。それぞれ特徴は異なりますので、資金計画や売却の目的によって使い分けることが大切です。では、具体的にそれぞれの内容を解説していきましょう。

 

【一般的な「仲介」】

「仲介」は、不動産の売却の中で最も一般的な方法で、不動産会社に買い手を見つけてもらい、売買取引を成立させます。このとき、不動産会社との間に「媒介契約」を結びますが、その契約内容によって販売活動が変わります。また、不動産会社への報酬として、仲介手数料を支払うことになります。

 

媒介契約には、以下の三種類があります。主な違いを覚えておきましょう。

 

〈一般媒介契約〉…複数の不動産会社に仲介を依頼できる。依頼者(売主)は独自に買い手を見つけることができる。

〈専任媒介契約〉…一社の不動産会社に仲介を依頼する。依頼者(売主)は独自に買い手を見つけることができる。

〈専属専任媒介契約〉…一社の不動産会社に仲介を依頼する。依頼者(売主)は独自に買い手を見つけることができない。

 

【不動産会社へ直接売却する「買取制度」】

不動産会社の中には、不動産を直接買い取る「買取制度」を設けているところがあります。買取制度では、資金力や販売力が必要なため、サービスを提供している不動産会社は限定されています。

 

【競売を回避したいなら「任意売却」】

「任意売却」は、住宅ローンや債務の返済が困難なときの売却方法です。住宅ローンの残債があり、かつ住まいを売ってもその売却価格がローン残高を下回る場合でも、債権者である金融機関の同意を得て売却できます。

 

住宅ローンや債務の返済ができなくなると、金融機関は担保となっている不動産を強制的に売却し、融資したお金を回収します。これが「競売」です。しかし競売には、落札価格が市場価格よりも低い、売却されるまで長期間かかる、債務者の意向は一切考慮されないといったデメリットがあり、回避したいという声も多くあります。

 

一方、任意売却は、金融機関が設定している抵当権を解除し、できるだけ市場価格に近い金額で売却できます。残った債務についても、金融機関との調整が可能です。

 

【万が一売れなくても現金化できる「買取保証付き仲介」】

買取制度の派生として、「買取保証付き仲介」があります。買取保証付き仲介では、まず通常の仲介と同じように売主と不動産会社が媒介契約を結び、不動産を売りに出します。その後、一定期間内に買い手がつかない場合のみ、不動産会社が買い取るという、仲介と買取制度を合わせた方式です。

4つの方法の特徴とメリット・デメリット

各売却方法のメリットとデメリットを表したイメージ画像

これまで紹介した売却方法には、それぞれメリット・デメリットがあります。しっかりと把握し、最適な売却方法を選択していきましょう。

 

【仲介】

〈メリット〉

・販売活動を不動産会社に全て任せることができ、契約種類によっては自分で買主を探すこともできる

・専門知識を有する担当者が取引を成立させてくれるので、情報の不足や手続き不備などによるトラブルが防止でき、問題が起きても対処してくれる

・売却に必要な書類の作成(売買契約書など)や専門家(司法書士など)の手配を一任できる

 

〈デメリット〉

・仲介手数料がかかる。実際にいくらになるのかは、各不動産会社との取り決め次第(宅地建物取引業法の規定上限内)。

・専属専任媒介契約の場合、自己発見取引(自分で買い手を見つけて取引すること)ができない

・基本的に買主に対し売主が、契約不適合責任を負う

 

【買取制度】

〈メリット〉

・買い手を探す必要がなく、決まった期限までに現金化できる

・売る相手が不動産会社なので仲介手数料がかからない

・知人や周囲に売却理由を知られずに売れる

・基本的に現状のまま引き渡すことができる

 

〈デメリット〉

・仲介に比べて売却価格が低い(市場相場の6〜8割程度)

・すべての不動産会社が買取制度を設けているわけではない

 

【任意売却】

〈メリット〉

・知人や隣人に売却理由を知られずに売れる

・市場相場に近い価格で売却できる可能性があり、競売よりもローンや債務の返済が楽になる

・交渉次第で引越し費用の一部を売却代金から差し引くことができる可能性がある

・売却にかかる諸費用を売買代金から支払うことができるので、持ち出し金(手元資金)が不要

 

〈デメリット〉

・連帯保証人の同意が必要

・残債と売却価格の差が大きい場合は、債権者が難色を示すことがある

・任意売却の実績が豊富な不動産会社が少ない

・一定期間で売却できなければ、競売による強制売却に移行してしまう

・数カ月以上におよぶ返済額の滞納が条件なので、信用情報に履歴が残る

 

【買取保証付き仲介】

〈メリット〉

・決まった期限までに必ず現金化できる

・即時買取とは違い、一定期間は希望価格で売却できる可能性がある

・買取になった場合は仲介手数料がかからない

 

〈デメリット〉

・買取の場合は仲介に比べて売却価格が低い(市場相場の6〜8割程度)

・即時買取と同じく、すべての不動産会社が制度を設けているわけではない

大切なのは時間?お金?

これまで四つの売却方法について、特徴やメリット・デメリットを紹介してきました。このうちどれを選択すべきかは、ケースバイケースと言えます。

 

例えば、単純に高く売りたいだけならば、仲介がベストな選択肢でしょう。一方、すぐにでも現金化したい、確実に売りたいというのならば即時買取や買取保証付き仲介がおすすめです。しかし、ローンの返済に困っていて誰にも知られずに売却したいのなら、任意売却が候補に挙がってきます。

 

このように、事情によって最良の選択肢が変わってくるため、「何を優先するか」を明確にしておくとともに、それぞれのリスクも考え合わせることが大切です。

不動産お役立ち情報